Q.株式会社 ノーリツ様はどのような事業をしているのか教えて下さい。
河合さん:給湯機器や温水暖房機器などの温水空調分野とガスコンロやレンジフードなどの厨房分野における住宅設備機器の製造、販売、アフターサービス・施工などのサービス事業を展開しています。
プカ太郎:給湯器のイメージが強いけど、他にも様々な事業を行っているんですね!
Q.株式会社ノーリツ様といえば「お風呂」というイメージが強いですが、お風呂でのヒートショック対策について教えて下さい。
河合さん:ノーリツは創業者の太田敏郎が、海軍兵学校時代の厳しい訓練後の入浴で心を癒した経験から「おふろは人を幸せにする」という理念を掲げて創業されました。この理念は現在でも一貫しており、ノーリツはお風呂という浴室空間をリラックスして過ごせる癒しの空間にしたいと考えています。
プカ太郎:ボクもお風呂大好きです!「おふろは人を幸せにする」ステキな理念ですね!
河合さん:ちなみに現在のミッションは「新しい幸せを、わかすこと。」です。
プカ太郎:ノーリツさんのお風呂愛が伝わってきます!
河合さん:しかし、こうした理念を掲げる一方で、入浴事故死者数は、年間推計19,000人にのぼり、社会課題となっています。ノーリツとしては、お風呂の事故で悲しい想いをする人を1人でも減らしたいと考えています。
プカ太郎:そのためには、どんな対策が必要なのでしょうか?
河合さん:お風呂のヒートショック対策としては、脱衣所や浴室と部屋の室温の温度差をなくすことが肝心です。温度差をなくすためには、入浴前に浴室暖房乾燥機を使用し、脱衣室や浴室を事前にあたためておくことが有効です。
浴室暖房乾燥機がない場合は、パネルヒーターや電気ヒーターなどの暖房器具を使ってあたためることや、お湯はり時に換気扇を切った状態で浴槽の蓋を開けたままお湯はりをすることやシャワーを出しておくことで、湯気によって浴室空間をあたためることが可能です。ただ、タイルなど、浴室の材質によっては、浴室全体があたたまらないことがあるので、浴室暖房乾燥機の使用をおすすめします。
プカ太郎:まずは自分の家のお風呂がどんなタイプか把握して、それに合わせた暖め方をするのが良いんですね。
Q.ヒートショック対策に有効なイチオシのサービスや製品がありましたら教えてください。
河合さん:給湯器用の見まもり機能付きリモコンですね。浴室や脱衣所のヒートショック対策に最も有効なのは浴室暖房乾燥機なのですが、やはり設置するのにはハードルが高いというお客さまもいらっしゃいます。しかし、給湯器はどこのご家庭にもありますよね。
プカ太郎:そうですね。
河合さん:この見まもり機能付きリモコンは、お湯はりをする際に、浴室の温度が一定温度よりも低いと「浴室が寒くなっています」という注意喚起(リモコンに点滅表示でお知らせ)をしてくれるんです。また、浴室暖房乾燥機が付いている浴室の場合は、暖房「ON」スイッチを押して、浴室があたたまると「浴室があたたまりました」ということもリモコンの表示や音声で教えてくれます。浴室空間があたたまってからでないと「おふろがわきました」のお知らせも出ないように設計されています。これはノーリツの開発陣がものすごくこだわったポイントです。
プカ太郎:なるほど!単純にお湯がたまったら完了というわけではないんですね。
河合さん:そうです。やはり浴室がしっかりあたたまった状態で入浴していただきたいという想いがありますので、このような機能を搭載しています。この機能はノーリツだけのものになります。
プカ太郎:他のメーカーさんの製品にはこの機能が付いていないんですね!
河合さん:さらにこのリモコンには、入浴時に熱いお湯による入浴直後の身体の負担を軽減する対策する機能も付いています。
プカ太郎:熱いお湯による入浴直後の血圧の急上昇も身体に良くないですもんね。
どのような機能なのでしょうか?
河合さん:一般的には湯温を40〜41℃で設定する方が多いのですが、ノーリツのリモコンは設定湯温より約2℃ほど低い温度で沸き上げ、入浴してからゆっくりと設定湯温まで温度が上昇する機能が付いております。(※全自動タイプの給湯器に限ります)
プカ太郎:細やかな心遣い!
河合さん:また、長湯の対策として、5分ごとに入浴の経過を音でお知らせしてくれる機能や、リモコンに搭載している人感センサーで浴室に人がいるかいないかも分かるようになっています。無線LANにつなげば、スマホのアプリで何分ぐらい入浴しているのか、把握することも可能です。
プカ太郎:入浴している本人はもとより、入浴中に何かあっても家族が気づきやすいようになっているんですね。
Q.離れて暮すご家族を見まもるような方法はあるのでしょうか?
河合さん:ノーリツの無線LAN対応リモコン専用アプリとして「わかすアプリ」というものがあり、離れて暮す家族の給湯器の使用状況を翌朝に通知する機能があります。(※離れて暮すご家族の家に無線LAN対応リモコンを設置し、ご自身のスマートフォンを接続する必要があります)さらに、お湯の使用量やお湯はり実績などを確認できるため、給湯機器の使用状況を通じて、なかなか会いに行けない家族を見まもることができます。
プカ太郎:離れた地域で高齢の親が1人暮らししているというケースは多いと思うのですが、これなら安心ですね。
河合さん:そうですね。アプリを使わなくとも毎日電話などで連絡を取るという方法もありますが、現実的に日常の中で毎日やり取りをするのって大変に感じる方も多いと思うんです。だからアプリを通じてそっと見まもるぐらいが、お互いにとってもストレスにならないのかなと感じています。
Q.ノーリツ様がヒートショック対策に取り組みはじめたのはいつ頃からでしょうか?
河合さん:ノーリツは、1997年に浴室のヒートショック対策を目的として、快適で便利な「予備暖房」機能を搭載した壁掛式の浴室暖房乾燥機を発売しました。
プカ太郎:25年以上も前からヒートショック対策をはじめていたんですね!当時はまだヒートショックという言葉が一般的ではなかったんじゃないですか?
河合さん:一般的ではなかったと思いますね。なので、当時のカタログにも「ヒートショック」という言葉は使われていません。しかし、当時の社内の提案書などを確認すると「ヒートショック」という言葉が使われているんですよ。
プカ太郎:面白い情報ですね!
河合さん:ヒートショックという言葉は一般的ではありませんでしたが、血圧の急激な上昇が健康に影響を及ぼすという研究を行っていましたので、対策するための製品ということで販売されています。
プカ太郎:この他にも以前から取り組みされていることはありますか?
河合さん:はい!入浴に関する安全安心の取組みとして、九州大学と入浴に関する共同研究を行っています。
プカ太郎:大学と共同研究!
河合さん:やっぱりお風呂で悲しい想いをする人が1人でも減ってほしいので、入浴事故を防ぐために様々な角度から取り組みを行うことが大切だと思っています。
Q.世の中やお客様に向けてヒートショック対策に関する啓蒙活動を行っていますか?
河合さん:もちろんです!世の中に対する啓蒙活動としては、ノーリツのホームページでヒートショックと浴室内熱中症についての概要と対策方法を公開し、「おふろのじかん」というWEBアプリで気象情報と連動したヒートショック予報と対策について配信しています。また、FacebookやTwitter等、公式SNSアカウントでの注意喚起や全国各地で入浴事故対策のための「正しい入浴方法」の講演を行っています。
プカ太郎:かなりたくさんありますね!講演まで行っているとは!
河合さん:お客さまには、ホームページ、ヒートショック予報、購入後の商品の取扱説明書などで入浴で気をつけたい7つのポイントについて、注意喚起を行っています。
プカ太郎:ホントだ!取扱説明書にもしっかりとページ数を使って掲載されていますね。
河合さん:本当に大事なことですので、商品の説明よりも前のページに掲載しています。やっぱり安全安心がある上で入浴を楽しんでいただきたいので。
Q.ヒートショック対策のためにつくられた製品について、それぞれ教えてください。
河合さん:まず先ほどもお話いたしました「無線LAN対応高機能リモコン:RC-G001EW-3」です。
「浴室低温お知らせ」機能、「浴室あたたまりお知らせ」機能、「ゆるやか浴」機能などの入浴の見まもり機能はもちろん、浴室「暖房」の遠隔操作機能が搭載されており、離れた家族の見まもりも可能です。
プカ太郎:あんしんのためのサポート機能がたくさん搭載されているんですね!
河合さん:次に「温水式浴室暖房乾燥機:BDV-M4106AUKNT-BL」。
こちらは浴室「暖房」の遠隔操作ができるだけでなく、浴室暖房乾燥機のリモコンに「暖房ガイド」を表示。浴室に入る前に、浴室が寒くなっていることやあたたまったことをランプで確認できます。
プカ太郎:浴室の温度を「見える化」されているんですね!
河合さん:「パネルヒーター:PH-351P-BL」もオススメです。
脱衣場やトイレ等の壁面に設置できるので省スペースを実現。室内で燃焼をしないため、空気もクリーンに保ちます。またタオルをかけることでタオルの乾燥もできるパネルヒーターとなっております。
プカ太郎:やさしくクリーンに室内を暖めてくれるんですね!
河合さん:この他にも、ほとんどすべての給湯器にヒートショック対策や浴室内の熱中症対策を搭載した「見まもり」機能付きの商品を展開しています。
我々の力だけでは、ヒートショックを軽減することは難しいのが現状ですが、まずはノーリツの商品を知っていただくこと、使用して、浴室事故について「意識して」いただくことで、入浴事故軽減につなげていきたいと思います。
プカ太郎:安全安心があってはじめてお風呂を楽しめる。ノーリツさんの「おふろ愛」、十分に伝わりました!今日は帰ってお風呂にゆっくりと入りたいと思います!
本日はありがとうございました!
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